大学受験の頃からのラジオ遍歴 ・高校篇
受験勉強の心強い味方となってくれていたものは、ラジオでした。
成績もビリから数えて片手で間に合う私にとって、本当に情けなくつらい夜。
英語辞典の単語は宙に踊っているし、数学のサインコサインタンジェントなぞ、くそっくらえ!!
そんな時、
高石ともやの「受験生ブル-ス」は、スカッとさわやかコカコーラ♪
ともやさんのだみ声に、ニタって顔して”明日には明日の風が吹く”。
結局、夜明け前までラジオを聴き、授業中は高いびき。。
私の受験勉強を信じて、腫れ物にさわるように気を遣ってくれていた両親が、あの頃は鬱陶しかった。
生まれ育ったこの地から出たい。都会に行って、知らない空気を吸ってみたい。
何をする目的もなく、就職するまでの夢のような学生時代を送れればいい。
私の「受験生ブル-ス」は、他愛ない”理由なき反抗”とも呼べない戯れ歌だった。
関西、関東の大学。あわせて数校を受験するも、すべて”桜 散る”。
親父の酒の入った「恨み節」は、哀れな遠吠えでしかなかったけれど、
母の「まあええが、来年があらア」と、けろっとしたもの。
どうやら、私の性格は母ゆずり、かな。
それでも「補欠合格」通知に、夫婦喧嘩はおさまった。
よかった。東京へ行ける。この地から出られるのだ。
親父が車窓にトランジスタラジオを乗せ、流れる窓外模様を目を細くして眺めていた。
東京まで片道12時間の父と子の壮行夜行列車。
時々、雑音に邪魔されながら
大学入学祝いに買ってくれたトランジスタラジオから
舟木一夫の「高校三年生」が流れていた。